肛門科
肛門疾患の診察、治療を行います。お尻の調子が悪いのに見られるのが恥ずかしい、痛い治療をされそうだといって、病医院に行かずに我慢している方や、市販薬を漫然と使い続けているかたがいます。民間療法では効果が充分でないばかりではなく、直腸がんなどを見落としている場合もありますので専門医の受診をお勧めします。診察は横向きに寝てタオルをかける等恥ずかしくないよう配慮して行います。かぜをひいたときにはのどを診てもらうのと同様、お腹やお尻の調子が悪ければ肛門や直腸の診察を気楽に受けましょう。
治療は肛門機能を損なわないように配慮して行います。なお、一部の日帰り手術を除き、安全、確実に行うため原則として入院で行います。
痔核の切らないで治す新しい注射療法
痔疾患の発生メカニズムが検討され、治療法も変化してきました。なかでも注目されているのがいぼ痔に硬化療法薬を注入する新しい注射療法(ALTA療法)です。いぼ痔(内痔核)が肛門の外に飛び出し従来なら手術が必要な場合でも、硬化療法薬を直接注射することでいぼ痔が小さくなり、多くの方で脱出がなくなります。早い方では翌日の排便時から効果を実感していただけます。切る場合に比べて痛みも少なく、鎮痛剤を使う方もまれです。痔の大きさや数によっては入院が必要で手術を行なった場合と比べると大幅に入院日数が少なくなっています。ただし、どんな痔にも効果があるわけではないので、受診時にご相談ください。
痔ろうの治療方針
痔疾患中、痔ろうだけは必ず手術をしなければ治癒しません。痔ろうは肛門腺の感染より発生します。原因である感染肛門腺を取り残さず切除しようとすると肛門機能障害が生じやすくなり、逆に肛門括約筋を温存すると再発率が上昇します。
そこで本院では後方痔ろうには開放術式を、側方前方痔ろうにはシートン法、或いはクシャーラスートラ法を行っております。シートンゴムは黒川式天然ゴムを、クシャーラスートラ糸は金沢大学より提供を受けた純国産糸(金沢糸1号)を用います。
裂肛の治療
急性期の裂肛に対しては保存的(便秘の予防など生活習慣の改修、薬物療法)を行います。また肛門狭窄症に対してはニトログリセリン療法を行います。(保険診療外となります。また頭痛が出現することもあります。)肛門狭窄を伴った慢性裂肛に対しては肛門拡張術、皮膚弁移動術を行っております。
肛門掻痒症の治療
近年、温水便座の普及に伴い肛門掻痒症が急速に増加してきました。治療はかなり難渋しますが、根気良く治療を続ければかなり症状もよくなる場合があります。温水便座の使用の中止した上でステロイド暫減療法を行います。ただし、定期的に通院可能な方に限ります。
